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小規模企業共済の落とし穴
小規模企業共済とは
小規模企業共済は、簡単に言うと個人事業主や小規模な会社の役員が加入できる退職金積立制度です。法人ではなく個人が加入して掛金を支払うもので、掛金が全額所得控除として個人の所得を減らしてくれる点が節税策として利用されています。この点法人の所得を減らすものではないので注意が必要です(法人税の減額効果はない)。
掛金は月額最大7万円(年84万円)まで払えますので、例えば給与年収が800万円の人なら、掛金84万円×税率30%=約25万円分だけ個人所得税・住民税が安くなります。
もちろん、事業を廃止する時等、掛金が返戻される時には、逆に返戻金分だけ所得が増えてしまうのですが、税制上有利な退職所得として扱われるので基本的にはお得な制度と言えます。
落とし穴1 「サラリーマン+何か」 の人は加入できない
例えば、「サラリーマン+大家」や「サラリーマン+マイクロ法人の役員」等、既に他の会社のサラリーマンとして厚生年金に加入している人は、同制度の保護の対象にならないとして、加入することができません。
落とし穴2 「私(税理士)も加入しています。」は鵜吞みにしない
小規模企業共済は、いったん払い込んだ掛金は基本的に廃業・会社の解散又は役員の退任をしない限りは戻ってきません。つまり、長期間資金が固定されてしまいます。廃業や退任等以外の任意の理由で解約すると、掛金納付期間20年以内ならば元本割れしてしまいます。
この点、よく税理士が「いい制度だから私も加入しています。」と言って、おすすめするのが小規模企業共済です。税理士等の月額顧問料に支えられる安定的なストック型ビジネスで、かつ極端な事業投資が不要なビジネスの場合、確かに小規模企業共済は有効だと思います。長期間資金が拘束されても、上記のような理由で特に問題がないからです。
しかし、全ての企業が士業のようなビジネスモデルではありません。製造業や飲食業なら店舗や工場を構えるために多額の初期投資が不可欠です。また、投資事業のように業績が不安定な事業もあります。こういった事業では資金が長期間拘束されること自体が事業の成長を阻害する要因になりかねません。他の事業者が加入しているからといって、それが自分にも当てはまるかどうかは慎重に検討する必要があると思います。
落とし穴3 多額の退職金が見込まれる人には、かえって増税になる
マイクロ法人や個人事業主の場合には考えにくいことではありますが、もしあなたが別途多額の退職金を得ることが出来る予定があるならば注意が必要です。なぜなら小規模企業共済の掛け金の返戻金は退職金扱いになるからです。退職金の受給のタイミングと掛け金の返戻金の取得のタイミングが被ってしまうと退職所得金額が多くなってしまい、いくら税制上有利だとは言っても税額が高くなってしまう可能性があります。
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