従業員がいない会社でも定額減税の対応は必須なのか?

zeirishi

岸田総理肝いりの定額減税が2024年6月から始まります。

この定額減税は一回しか発生しないスポットのイベントであるにもかかわらずシステム対応やその他管理のための書類が必要となり、かなり面倒な作業になることが想定されます。

具体的には、2024年 6月1日時点の、各従業員の扶養の人数を確認したり、毎月の定額減税によって使用された3万円(所得税のみ)の枠がどのくらい残っているのかを把握したりする必要が出てきます。

これらは小規模な会社にとっては非常に手間となりますのでできれば省略したいところです。

なぜなら6月から毎月行ってきた月次の減税はやらなかったとしても、最終的には年末調整を行うことによって本来あるべき姿にできるからです。

要するに毎月の複雑な減税の手間を省いて、年一回の2024年12月の年末調整一回だけで終わらせることができないか?という問題です。

結論を言ってしまいますと、6月からの月次減税を省略することは公式的には認められていません

実際に、国税の給与支払者向け所得税定額減税コールセンターに問い合わせても、認められないとの回答が返ってきます。

これはおそらく、従業員が減税の効果を早めに享受する機会を、経営者が経営側の都合により勝手に奪うことを防止する趣旨があるのだと想像します。

もちろん、政府側ができるだけ早めに減税の効果を国民に享受させたくて、このような制度をわざわざ作ったのにそれを会社側の都合で無効にさせることを防ぐという政治的な意図はあると思います。

しかし実際のところ、一人会社のように従業員がいない会社、あるいは従業員が家族だけしか居ないような会社の場合は、定額減税の効果を6月に享受しなくてもいいと経営者側(含む家族従業員)が判断しているならば特に損する人はいないと思います。

月次の定額減税を行わなかった場合には毎月の源泉所得税の納付額が増えるだけですから税務署側も特に損失はないはずです。

そして最終的には一年をとおしてみれば結果は同じなわけですから誰も損はないわけです。

もちろんこのような制度はスポットの制度ですので実際に月次減税をやらなかったことによる結果がどうなるのかを誰にもわかりませんが、月次定額減税をやらなかったとしても年末調整をしっかりやればそれほどリスクはないのだと思います。

あくまで自己責任にはなってしまいますが、一人会社や家族だけで運営している会社の場合はリスクを考慮の上あえて月次の定額減税を行わないという判断も合理的なのではないでしょうか。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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