マイクロ法人で暗号資産の資産運用会社を作ることの是非

仮想通貨 ビットコイン

マイクロ法人を使って、暗号資産(仮想通貨)を取引する資産運用会社を作って節税をするという考え方があります。

資産運用会社を作ると良いという考え方の根拠

この発想の根底には、暗号資産の売買益は個人で行った場合は、事業所得又は雑所得となり高税率の個人所得税が適用されてしまうので、法人で取引をすることでこれを回避できるという考えがあるのだと思います(事業所得になるにはハードルは高い)。

下グラフの青部分が個人(事業)の税率です。所得額が330万円前後から個人の税率が法人のそれよりも高くなっており、それ以降個人の税率が法人のそれを下回ることはありません。

個人事業主と法人の税率の違いをグラフで表示
個人(事業)の税率と法人の税率

資産運用会社化しても、長期で見ると結局変わらないのが普通

このグラフを見る限りだと、一見すると資産運用会社を作ってそこで暗号資産投資をやった方がいいように思えてきます。

ただ、実際はそう単純にはいきません。

というのも、仮に法人で暗号資産の取引を行って1億円の利益が出たとします。法人にかかる税率は、所得800万円超は一律で約33%ですので9,200万円についても33%の低税率だから、個人の税率50%や60%と比べるとだいぶ得になった感があります。

しかし、会社が法人税を払った後の、会社に蓄えられた利益(内部留保といいます)は、そのままでは個人的に使うことができません。あくまで会社の金であって、個人のものにはならないのです。内部留保は個人に役員報酬か配当という形で還元しないと、個人では使えません。

ここで、役員報酬にせよ配当にせよ、何らかの形で個人に還元すれば高税率の個人所得税がかかってしまいます。特に、役員報酬での還元は社会保険料までかかってしまいます。

結局、長期の累計でみると法人税を納付した上に、後で個人所得税も取られてしまうので通常は結局あまり変わりません。

法人だと含み益に課税も

個人だと暗号資産の含み益には課税がないですが、法人化してしまうと含み益にも課税されます。結果、利益が出ているなら毎年含み益分も納税しないといけません。

特に、暗号資産は1日での価格の変動が大きいので、期末付近になって急激に利益が出たり、損失が出たりします。

すると、期末までの時間がほとんどないため、節税対策もほとんど出来ないということもあり得ます。

逆に含み損は資産運用会社の他の所得と相殺することが可能なので、例えば株式の配当金や売却益があった場合はそれと相殺できる点がメリットになります。

結局、資産運用会社は不利なのか?

資産運用会社で暗号資産の取引をするのは、以下のような状況次第では有利だと思います。

有利なケース1:資産運用会社の他の利益と暗号資産の含み損を相殺したり、逆に暗号資産の含み益と他の損失とを相殺出来るなどのメリットを使える場合。要するに、資産運用会社に複数の利益の源泉がある場合。

有利なケース2:資産運用会社であれば損失が出た場合でも損失繰越期間が10年と、長期間繰越が可能なので個人のそれ(事業所得なら最大3年繰越、雑所得なら繰越不可)と比べると有利です。利益が出るまでに長期間かかる人には有利です。

有利なケース3:会社員ではない人で、元々個人事業(投資事業ではない)をやっていた人が、新たに資産運用会社を作ってそこの役員として社会保険に加入する場合は、国民健康保険・国民年金→健康保険・厚生年金に変わるので社会保険料部分を節約出来ればトータルで有利。但し、毎期一定程度以上の利益を出さないと役員報酬を出せないので、ある程度の額の種銭が必要。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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