シリコンバレー銀行破綻は第二のリーマンショックか?

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アメリカのシリコンバレー銀行の破綻が第二のリーマンショックの始まりなのかという噂が立っております。

シリコンバレー銀行は、預金者から集めたお金を長期の債券に運用していたようです。

利回りの高い長期の債券で運用していれば一見すると安全なようにも思えますが債券は金利が上昇すると価値が下落します。

例えば、満期10年で金利年1%固定の債券100万円があったとします(通常は利率は固定です)。

金利の上昇によって市場金利が年2%になってしまった場合に、債券を現金に変えようと思ったとしても、もはやこの債券を100万円で売ることはできません。

なぜならば市場では金利2%が常識になってしまっているので1%の金利の債券に魅力がないからです。

この場合はこの年1%の金利の債券を値引きして売らなければ買ってもらえません。

具体的には、この債券は10年間で10万円分の利息が平均的な市場金利よりも劣る債権なのですから(10万円=(市場金利年2%-年1%)×100万円×10年分)、10万円相当割り引いてこの債券を売らないと買ってもらうことができません。

このように債券は市場金利が上昇すればするほど、古いものは価値が減ってしまうという性質があります。

ただしこれは前提条件として債券を満期まで保有せずに途中で売却する場合の話です。

債券を満期まで保有すれば金利は確かに市場金利よりは低いものの、額面の100万円が返ってくるので特に損することはありません。

パニックによる取り付け騒ぎさえ起きなければ、満期まで債券を長期保有することによって最終的にお金は帰ってくるわけですから何ら問題になることはありません。

シリコンバレー銀行以外にもほかの銀行も同様の問題を抱えている可能性は確かにありますが、取り付け騒ぎが起きなければ特に債券を売却する必要もないわけですから満期まで保有することが可能であり特に問題になることはないはずです。

短期的には金融パニック起きる可能性はあります。しかし、冷静に考えてみれば、満期まで債券を保有していれば問題なく返ってくることはわかっているのですから、今回の事件が引き金でリーマンショックになるというほどのものではないことがわかります。

もしも3月の13日の週のどこかで今回の事件が原因で大きく株価が下がるようなことがあるならば、そのときはパニックによる短期的な売却が原因だと思いますので、そういう時こそ買い増しのチャンスと思われます。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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