円安はいつまで続くのかと税務上の注意点
2022年9月中旬、1ドルが140円代前半となり空前の円安となっています。
この円安は何が原因で、いつまで続くのかを予想したいと思います。また、その結果、税務上不利な扱いにならないようにどうすれば良いのかについても説明します。
円安の原因
円安が続いている理由は明らかで、米国や欧州といった主要国が軒並み金利の引き上げをやっている一方で、世界の主要国のうち日本だけが依然として低金利を維持しているからです。誰だってカネを持っていれば、金利の高い通貨を持ちたいと思います。日本円を持っていても金利が安いから、相対的に金利が高くなっている米ドルを欲しいと思うのが普通でしょう。その結果、日本円が売られて円安になっています。
そもそも、世界の主要国が金利の引き上げをやっているのは、コロナ対策でカネをばらまきすぎた結果発生したインフレを抑え込むためです。インフレは市場にカネが大量に余っている場合に発生します。金利引き上げを行うことで、個人や企業がカネを借りにくくなり、又はすでにあった借金を返済させることで市場に出ているカネの動きを鈍らせることでカネ余りを防ぐことができます。その結果としてインフレが抑えられるというものです。
では、なぜ主要国の中で日本だけがいまだに低金利を維持しているかというと、日本が金利を引き上げれば、不動産のローンを組んでいる個人の生活が破綻してしまったり、ローンで何とか生き延びているゾンビ企業が破綻するおそれがあるからです。もちろん、表向き日銀の黒田総裁は、インフレターゲットを2%を達成するためと言っていますが、本当の理由は金利の引き上げをすれば日本経済に与える影響が大きすぎるからでしょう。現状の低金利に基づく円安のマイナス影響は確かにあるが、金利引き上げによる日本経済への打撃はもっと大きいと黒田総裁は考えているのだと思います。
円安はいつまで続くのか
円安も恒久的に続くものではありません。なぜなら、先述した通り、円安の原因が日本と主要国との間の金利差に起因するからです。
とすれば、日本銀行が他の主要国と同様に金利の引き上げを実施するタイミングが訪れれば、円安は解消されるでしょう。
では、いつ日銀は金利の引き上げを決めるのかが問題となりますが、その時期は不明です。しかし、少なくとも黒田総裁が任期中は現状(低金利)を維持するでしょう。黒田総裁の任期は2023年3月までなので、その時に別の総裁の経歴や考え方が、金利の引き上げ派であればその時点で金利の引き上げの思惑が強まり、円高に振れる可能性が高いです。
その場合、外貨預金等を持っていると為替差損が発生してしまいます。
外貨預金の為替差損は絶対に発生させてはならない
別記事でも触れましたが、外貨預金の為替差損益は雑所得に分類されます。雑所得は、所得10種類の中で最も不利な扱いを受ける所得です。
為替差益であれば、そこまで深刻な不利益は出ませんが、為替差損の場合は最悪です。
為替差損は雑所得のマイナスになるわけですが、雑所得のマイナスは他の所得とは相殺(損益通算)することができません。そして、そのマイナスは翌期に繰り越されることもなく切り捨てられます。
株やFXの譲渡所得はマイナス(売却損)になっても3年間の繰り越しができて将来のプラスと相殺できるのに対して、為替差損はそうはいかないのです。
そのため、為替差損を出すことは絶対に避けなければなりません。もし、円安対策として今から外貨建て資産の取得を考えている方がいたら、外貨預金をするのは止めた方がいいでしょう。来年3月ごろに総裁交代のタイミングで為替差損が発生する可能性が高いからです。来年3月ごろに日銀総裁交代が完了してから様子を見つつ徐々に外貨建て資産を買うのがいいでしょう。
もし、それでも今から円安対策がしたい場合は、外貨預金は避け、外国株や外貨で運用する投信・ETFを購入するといいでしょう。そうすれば、外国株や外貨で運用する投信・ETFならば、為替の変動による差損益は投資の損益とみなされるので、雑所得は生ぜず通常の株の売買と同様に譲渡所得扱いになるからです。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。