FXと暗号資産の税金の違い

仮想通貨 ビットコイン

はじめに

FX(外国為替証拠金取引。以下単に「FX」といいます)と暗号資産(仮想通貨)については、その二つの投機的性格が似ていることから税金についても同じような扱いがされると誤解される方がいると思います。

今回はFXと暗号資産の税金の取り扱いに関する共通点と相違点を説明します。

なお個人の資産運用として投資を行っていることを前提とします(事業ではない)。

共通点と相違点のまとめ

(参考)上場株式売却益(特定口座)FX暗号資産
所得の種類譲渡所得雑所得雑所得
確定申告の要否不要雑所得合計が20万円以上で必要同左
課税方法分離課税分離課税総合課税
税率一律約20%一律約20%累進課税(所得による)
損失が出た場合、他の所得種類(給与所得等)との損益通算△(配当は可)×
FXと暗号資産間の損益通算××
損失の繰越〇(3年繰越可)〇(3年繰越可)×

上記の表のとおり、暗号資産に関する税の取り扱いの方が圧倒的に不利な扱いになっています。また、参考までに上場株式の売却益にかかる税金の取り扱いも表に加えておりますが、これを見ても分かる通り、FXにかかる税金の取り扱いは基本的に上場株式売却益に係る取扱いに近いと言えます。

課税方法の違い

特に最も大きい違い一つは課税方法の違いです。 FXは分離課税なのに対し、暗号資産は総合課税です。総合課税になると、他の所得(給与や事業所得)と合算して、そのトータルの所得に対する累進税率が決まってきます。もともとの所得の金額が大きければ当然払うべき税金の額も大きくなってしまいます。それだけでなく、一時的に多額の利益が出た場合でも累進性によって、どんどん税率が高くなってしまいます。

損益通算(相殺)

損失が出た場合、FXも暗号資産も、基本的には他の所得(給与所得等)との損益の通算はできません。同じ所得分類の中での通算に留まります。暗号資産の損失は年金等の一部の所得とは通算ができます(なお、暗号資産で利益が出た場合、かつ事業所得で損失が出た場合は両者を通算することは可能)。

また、暗号資産とFX間の損益の通算もできません。したがって例えば、FXでは損失が出ていて、暗号資産で利益が出ていた場合でも、それらを合算することができず暗号資産の方で多額の税金を払う羽目になります。

ただし、暗号資産内での損益通算や、FX内での損益の通算は可能です。例えば、同じ年度でビットコインでは利益が出ていたけれどもイーサリアムは損失が出た場合に、ビットコインの利益とイーサリアムの損失を相殺することが可能です。

デメリットはどうすれば解決できるか

解決の方法は、投資法人を設立して法人でFXや暗号資産の取引を行うことです。

ただし、この場合は新たなデメリットが発生することになります。それは法人の決算期末に毎期暗号資産を時価評価して、未実現利益(含み益)に対しても課税されてしまうということです。左記のデメリットが大きいので個人的にはあまりオススメはできませんが、これにより累進税率からの脱却、損益通算が可能になる、損失繰越が10年になるといったメリットを得ることができます。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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