役員社宅節税の落し穴 5「固定資産評価証明書」の取得

suit

計算に必要な情報の入手経路

 役員負担額の計算に出てくる、建物と土地の「固定資産税の課税標準額」と建物の「総床面積」の情報を入手するためには、以下の2つの方法のいずれかによらなければなりません。なお、本記事は前の記事「役員社宅節税の落し穴 4役員から徴収する負担額の計算」の続きになりますので、出来れば以下から前記事もご覧ください。

①管理会社か大家さんに尋ねる

②役所(東京都なら都税事務所)で「固定資産(土地・家屋)評価証明書」を入手

 ①で管理会社か大家さんが教えてくれれば問題はありません。しかし、教えてもらえない場合や聞くのが憚られる場合には、役所で自らが賃借人であることを証明した上で「固定資産(土地・家屋)評価証明書」すれば計算に必要な情報を入手できます。

「固定資産(土地・家屋)評価証明書」取得時の注意点1

 「固定資産(土地・家屋)評価証明書」を取得するのは非常に面倒です。まず、役所に行き、置いてある「固定資産[証明・閲覧]申請書」に記入し、窓口で提出します。この時、注意点が2つあります。 1つ目の注意点は、自らが賃借人であることを証明するため、賃貸借契約書と身分証明書を持参する必要があることです。役所側は資料の開示にかなり慎重で、少しでも不足や資料間の不整合があると開示を拒否します。特に、賃貸借契約を更新している場合は、念のため最初の賃貸借契約書から現在までの更新の覚書まで全て持参した方がいいでしょう。

「固定資産(土地・家屋)評価証明書」取得時の注意点2

 2つ目の注意点は、物件の所在地として、登記簿の地番を申請書に記入しなければならない点です。普段使用している住所は厳密には「住居表示」といい、登記簿の「地番」とは異なるものです(同じ場合もあります)。役所の担当者は登記簿の地番を基に物件の情報を検索するため、例え住所が分かっていても登記簿の地番が不明だと検索してくれない(検索できない)場合があります。

 そのため、地番が分からない場合は、事前に管轄の法務局に電話して教えてもらうか、法務局に行って地番検索システムで地番を調べる必要があります。法務局に行くと、地番検索用のパソコンが置いてあるので、そこで住所かマンション名を入力して地番を検索します。検索方法や見方が分からない場合、法務局の職員に聞けば教えてくれます。なお、法務局職員の助けは不要で、自力で地番を検索できるという猛者ならば、インターネットの登記情報提供サービス等で検索することも可能ですが、地番に慣れてない一般の人にはお勧めしません。

「固定資産(土地・家屋)評価証明書」から必要な情報を特定する

 入手した「固定資産(土地・家屋)評価証明書」から、必要な情報を特定します。以下の「固定資産(土地・家屋)評価証明書」のサンプルはマンション1棟と土地についてのものです。上段が土地の情報で、下段が建物の情報です。赤丸枠で囲った部分が、役員負担額の計算に必要な情報になります。この時注意すべきなのは、役員負担額の計算式に出てきた「固定資産税の課税標準額」という言葉です。この言葉を字面だけ見ると、あたかも「固定資産(土地・家屋)評価証明書」の『課税標準額』(青四角枠)部分を使用すればいいように思えてしまいます。しかし、そうではなく、土地・建物とも『価格』の数値を計算式の「固定資産税の課税標準額」に当てはめて計算してください(国税庁サイト 社宅に係る通常の賃貸料の額を計算する場合の固定資産税の課税標準額)。また、建物の床面積は総床面積(全ての階の面積の合計)で表示されています。

(計算に必要な部分の拡大)

得られたデータから役員負担額を計算する

小規模社宅の場合の役員負担額の計算式

①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

②12円×(その建物の総床面積(平米)/(3.3平米))

③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 実際に上記例で役員負担額を計算してみます。なお、建物は3階建てのマンションで1フロアに同じ広さの部屋が3部屋あり、建物全体で9部屋あります。このため、1部屋の面積は48.1平米(=総床面積432.93平米÷9部屋)であり、99平米以下の小規模社宅になります。なお、上記例はマンション1棟の評価額しかなく、1部屋の評価額が分からないケースなので、いったん1棟全体ベースで計算した後、最後に総部屋数で割って1部屋分の金額を算定する点に注意してください。

  なお、上記③の赤字下線部分を追加する理由は、評価証明書の一筆の土地面積289.21平米が、全て建物に使用されているとは限らないからです。通常土地は一筆の区画として評価されますが、建物に使用していない部分もあり、建物に使用した部分のみの評価額を算出します。上記例では、建物の総床面積432.93平米を階数3で割ることで建物に使用している土地面積144.31平米を算出していますが、この部分は実態に応じて計算してもらえればと思います。最終的に、税法上は役員から毎月20,749円以上を徴収することとなります。大体計算結果はキリが悪いのと、バッファー(余裕分)を持った方が安全なので、少し多めに徴収した方がいいでしょう。

関連記事

  1. calculater 役員社宅節税の落し穴 4 役員から徴収する負担額の計算
  2. 役員社宅節税とは
  3. 役員社宅節税の落し穴 1契約、2初期費用、3連帯保証人
  4. そびえ立つビル 住宅とマイクロ法人
  5. 役員社宅節税の落し穴 6 社会保険上の役員負担額の計算

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

最近の投稿

PAGE TOP