役員社宅節税の落し穴 4 役員から徴収する負担額の計算
ステップ1 小規模社宅であるかの判定
役員社宅スキームを使うためには、役員から一定額の役員負担額を徴収しなければならないことは、既に述べました。まだの方は以下の記事をご参照ください。
役員から徴収する負担額の計算は、まず社宅の合計床面積が(廊下等の共用部分を含めて)基準値以下の小規模社宅であるかどうかを確認します。通常、家を借りる時に不動産会社からもらう間取り図には共用部分の面積が含まれていないので、注意が必要です。
小規模社宅に該当するかどうかで役員負担額の計算方法が異なるからです。 その床面積の基準値は、その建物の構造(耐用年数)によって異なるのですが、代表的なパターンは以下の通りです。
以下のパターンに該当すれば、より有利な小規模社宅になります。
建物の構造 | 床面積 |
木造 | 132平米以下 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 99平米以下 |
鉄筋コンクリート造 | 99平米以下 |
鉄骨造(鉄骨の厚さ4ミリ超) | 99平米以下 |
鉄骨造(鉄骨の厚さ4ミリ以下) | 132平米以下 |
ステップ2 社宅の役員負担額の計算
小規模社宅の場合
小規模社宅に該当した場合、次の①から③までの合計額が役員負担額になります。マンション等の集合住宅の場合で、1部屋分の価格が分からない場合は床面積で按分して1部屋分を計算します。
①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(その建物の総床面積(平米)/(3.3平米))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
この①~③の数値を合計すると、役員負担額は家賃のおよそ2割前後になることが多いと言われています。
小規模社宅以外の場合
ステップ1の判定の結果、小規模社宅に該当しない場合下記のa.とb.とのいずれか多い金額が役員負担額になります。多くの場合、bの値が50%を超えることはないので、小規模社宅に該当しないケースでは基本的に役員から50%徴収することになります。
a. 会社が家主に支払う家賃の50%の金額
b. 上で計算した小規模社宅の場合の①から③までの合計額
まとめ
まとめると以下になります。
社宅の広さ | 役員負担額 |
小規模社宅 | 家賃の2割前後 |
小規模社宅以外 | 家賃の5割以上 |
床面積の広い豪華な社宅には税制上の恩典を与えない制度になっているので、役員社宅は小規模な方がいいですね。もちろん、小規模といっても99平米までOKなので、それなりの広さだとは思います。
計算が面倒ですが、かなりの節税効果があるので計算をした方がいいでしょう。自分で出来ない人は税理士等に依頼するのも有りです。
次回落とし穴5では、役員負担額の計算式の中に出てくる各種評価額の入手方法について説明します。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。