脱ドル化と米国債

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日本のニュースではほとんど見かけることはありませんが、ここ最近「脱ドル化(De-Dollarization)」の流れについて世界中でニュースになっているようです。

De-Dollarization: Countries Seeking Alternatives to the U.S. Dollar (visualcapitalist.com)

脱ドル化とは石油取引の決済を始めとした国際的な決済において、ドル決済中心だったものを他の通貨で行うことです。この流れはドルが有事の際にひとつの武器として使われることに対するリスクをヘッジするために、アメリカ以外の国が動いていることが背景にあります。具体的にはロシアがウクライナ問題でドル決済の制限の経済制裁を受けたことに起因します。国際取引の決済手段を一つの通貨に依存していれば、有事が起こった時にその取引ができなくなってしまうことを回避するため、各国がドル以外の複数の通貨を使用することでリスク分散をしようとしているのです。

もしこのまま脱ドル化の流れが長期的に続いていくことになればドルの価値は相対的に下がっていくことでしょう。

一方で最近は米国債の金利が高いということで米国債への投資を推奨する流れがあります。

2022年の10月から現時点2023年の4月までで、長期(10年)の米国債の利回りは年4%前後になってます。

何人かの投資系ユーチューバーなどは年4%の高利回りで固定することが可能であるから、できるだけ長期の米国債を現時点で購入した方がいいということをいっています。

しかしながら、脱ドル化の流れを考慮すれば、10年後20年後あるいは30年後にドルが今のような覇権的な地位を保っているか不透明です。にもかかわらず目先の高利回りに惑わされて大量にドルを買いこんでしまった場合、将来ドルの価値が下落してしまえば多額の為替による損が出てしまいます。

リスクを分散することが投資の基本だと思いますので米国債への投資は長くても10年程度にしておいた方が良いと思います。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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