エンジェル税制の改正で本来の意味での減税か
従来、タイプAとBの2種類のエンジェル税制が存在していましたが、今般の改正で新たにシード・プレシード特例ができました。
ごく簡単に説明するとAの方は投資額分の寄付金控除を受けるもので、Bの方は他の上場株式の売却益と投資額を相殺できるというものでした。
ただし、これらの税制の最大の欠点は、最終的に投資した株が上場するなどして利益がえられた場合は結果的に課税の繰り延べになってしまうという点です。
投資時に税制優遇を受けていた場合は、売却時に利益が出た場合は逆に税制上不利なるというものです。つまり、「行って来い」という形になります。長期間で見れば税額は変わらないというものでした(これを課税の繰延といいます)。
今回新たにできたシード・プレシード特例は、上記のような課税の繰り延べにはならず純粋に免税になるという点が優れています。
ただ、かといって従来のtype A、Bの税制優遇は価値がないのかというとそういうわけではありません。
AおよびBの税制優遇は、投資した株が上場に成功し最終的に売却などされた場合には課税の繰り延べになってしまうのですが、もし投資先の事業が失敗した場合には最終的に破産して無価値になります。失敗の場合は、繰延にはなりません。
そして、IPO株はほとんどのケースにおいて失敗するので、殆どのケースでは事実上課税の繰延にはなっておらず、AとBでも実質免税という状況でした。
そういった意味では、今回のシード・プレシード特例は上場に成功したケースだけに影響があると考えられるので、さほど大きな改正ではなさそうです。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。