エンジェル税制とふるさと納税の上限額

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疑問

エンジェル税制には、投資時に投資額を寄付金控除として認められるA型と、投資時に投資額を他の株式の譲渡益と相殺が可能なB型の2種類があります。

このうちA型に関しては寄付金控除であることからふるさと納税と似た扱いになります。

ここでふるさと納税と似たような扱いをされることから、ふるさと納税の寄付上限額にエンジェル税制A型が影響を与えるのではないかとの疑問がわいてきます。今年エンジェル投資を行ってしまったせいでエンジェル税制を適用すれば、ふるさと納税の寄付上限額が下がってしまい、せっかくのふるさと納税が控除されず無駄に終わってしまうのではないかとの懸念をもたれる方が居ると思います。以下、解説します。

結論

年間100万円程度以上の多額のエンジェル投資A型を行っている人でない限りは、エンジェル税制A型はふるさと納税の寄付上限額に影響を与えないと考えられます(エンジェル投資をやる人は比較的年収が高めであると想定されるため年収700万以上はあるだろうという前提)。なお、エンジェル税制のB型を適用すればふるさと納税とは全く関係がありません。

理由

そもそもふるさと納税の寄付の上限額の計算はどのように行われるかをまず考える必要があります。

ふるさと納税の寄附の上限額の計算は、①所得税の寄付上限と②住民税の基本部分寄付上限と③住民税の特例部分寄付上限の3つの要素から構成されています。

このうち、①と②はあまり影響がない部分で、実質的には③の部分がふるさと納税の寄付の上限額を決定しています。

③の上限額の計算は以下の方法によります。

ふるさと納税寄付上限額=((住民税所得割×20%)/(1ー限界税率))+2,000円

この数式の詳しい説明は省略しますが(この数式を理解する必要もありません)、要するにこの数式で求められる上限額がよくネットに載っているふるさと納税の寄付上限額の一覧表になります。

重要なことは、この③住民税の特例部分の計算はふるさと納税に適用されるものであってエンジェル税制には適用がないということです。

要するに同じ寄付金扱いであったとしてもエンジェル税制A型とふるさと納税とは上限額の計算方法が微妙に異なるのです。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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