格安税理士を使うことの意味
格安税理士とは
世の中には格安税理士という、その名の通り格安でサービスを提供している事務所があります。大体、顧問料、決算確定申告料込みで年間合計12万円~15万円程度の所を格安税理士というようです。
値段が安いのには必ず理由があるわけですが、なぜ安くサービスを提供することが可能なのか、また、それを使っていいのかどうかを考えたいと思います。
安さの理由
・税理士は基本的に普段対応しないで、無資格の補助者(スタッフ)が対応
これは格安税理士にだけいえることではないのですが、大手の税理士事務所は無資格の補助者が担当者として日常的に対応を行います。会計事務所が有資格者の税理士を雇えば時間単価がかなり高くなるので、有資格者の補助者を対応させるとサービスの値段が高くなってしまいます。
そこで、基本的には無資格の補助者が普段対応し、必要に応じて有資格者の税理士がチェックしたりすることで関与することになります。
実は、「補助者」という無資格者が顧客に直接税務上のアドバイスをするというのは、昔から士業の世界では(本当は違法行為ですが)黙認されてきました。本来、顧客に税務アドバイスをするならば資格が必要なのですが、それを厳格に運用すると実務が混乱するので監督官庁が見て見ぬふりをしてきたという歴史があります。
例えば、歯科医師のライセンスがない歯科衛生士は、患者の歯をドリルで削ることが法令上許されていません。歯科衛生士がやっていいことは歯のクリーニングや口腔内の状態チェック等に限定されています。歯科業界や医療業界では、ライセンス保有者とそれ以外とで、やっていいことといけないことを明確に区分して、厳格に運用しています。
一方、士業の世界はかなりいい加減な運用となっており、本来税務に関する助言はライセンス保有者である税理士以外が行ってはいけないはずなのに、「補助者」というワイルドカードを使って野放しにされているのが現状です。極端な話、税理士1人で100人の無資格補助者を雇えば、税理士のライセンス1つで100倍の仕事ができることになります(もちろん、補助者を適切に監督するという前提です)。この状態を究極的に追求したのが格安税理士とお考えください。
・説明やコミュニケーションには時間をかけない
士業ビジネスは、年間の報酬を時間数で割って、時間単価を高めていくことで収益率を向上させていくことが基本です。その上で、残った時間を他の案件に費やすことでどんどん売り上げをアップすることができます。
この考え方を前提にすると、顧客への説明やコミュニケーションは最低限にすれば、より収益率は向上します。緻密なコミュニケーションをカットすることで安さを実現することができるのです。
具体的には、顧客は格安税理士に1か月間で質問できる回数や、面談の時間が制限されていることがあります。
格安税理士=格安スマホ
世の中には格安スマホというものがあります。例えば、UQモバイルやイオンモバイル等です。ドコモショップ等の店舗でのアフターサービスがなく、自分でメンテナンスをやってもらう代わりに料金が安いスマホです。
このため、格安スマホを使いこなすには、ある程度「自分で調べる」「自分で勉強する」「自分で動く」という能力が求められます。格安税理士も同じで、これを使いこなすには、税や会計に関して「自分で調べる」「自分で勉強する」「自分で動く」ことが必要になります。
もし、現在あなたが、スマホはドコモ・KDDI・ソフトバンク等の店舗サービスがあるキャリアを使っているのだとしたら、格安税理士を使いこなすことは止めたほうがいいでしょう。自分で○○するという能力が足りない可能性があるからです。
まとめ
格安税理士は、格安スマホと同じように、ある程度「自分で○○できるという」人向けの、使い手を選ぶサービスであるということがわかります。また、歯科衛生士に歯を削ってもらうのが嫌だという人は税理士等の有資格者がちゃんと担当者として対応してくれるのかを事前に調べた方がいいでしょう。
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