会社側から見た通常の税務調査とマルサの違い

税務調査は大きく分けて、3年に1度くらいのペースでくる通常の税務調査と、不正申告額1億円以上あるいは悪質な脱税行為を摘発する調査査察部、通称マルサの調査があります。

私は会社で経理をやっていた経験があり、しかも2つとも経験したことがありますので会社側の立場からこの二つの調査の違いについて、調査を受ける立場から感想を述べたいと思います。

調査に入るタイミング

通常の税務調査の場合は電話かかってきて「いついつから調査に入りたいのだけれども」という事前連絡があります。

この時、日程の調整を行って事前に書類を用意して、当日調査に来てもらい2日前後の時間をかけて調査を受けることになります。

一方、マルサの場合はある日突然やってきます。朝ちょうど始業の時間になったと思ったら職場に突然黒服の男たちが何十人と立っていることに気づきます。その場で調査の目的を述べて会社の職員たちに勝手に動かないように指示をします。ただ基本的に仕事をすることを止めるまでのことは求められるないので、仕事自体は可能です。もちろん、仕事どころではないのでほとんど進みませんけれども。

どのような調査を受けるか

通常の税務調査の場合は、その会社の概要・沿革や営業の状況などの概括的な話をまず質問されます。それが終わったら、帳簿の閲覧や議事録の閲覧等を調査官が行い、個別具体的な質問に移ります。基本的には調査官は紳士的な方が多いですが、こちらの態度如何によっては声を荒げたり恫喝まがいのことをしてくる人もいます。要求される資料も多く、当日の調査よりもその準備に何倍も時間がかかります。

これに対してマルサの場合、突然やってきて会社にある資料を彼らがダンボールにつめて持っていきます。こちらで資料を準備する手間がないのでそういう意味では楽です。

その後個別に会議室での質問を調査官から受けます。ひとりひとり時間になったら会議室に呼ばれて質問を受けます。調査官は事前にストーリーを想定しており、そのストーリーに事実が合っているかどうかをひとりひとりに質問して確認して行きます。最後に質問の内容を調書にまとめたものを読まされて、事実誤認がないかどうかの確認を求められます。問題がないようでしたら拇印を押して了承します。印鑑を使うことはできません。

意外とマルサは紳士的?

私個人の感想レベルですが、マルサの方が楽だし紳士的な対応してくれる気がします。通常の税務調査の場合、グレーな部分についての交渉等が発生し、そこで交渉技術としての恫喝やハッタリ等が出てきて疲れます。他方、マルサは物的証拠を取って裏を取ろうとしているので、グレーなところを責めるわけではありませんから、ハッキリしてます。会社側もムダな抵抗をしないので、余計な争いが生じずある意味では楽です。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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