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個人事業とマイクロ法人の二刀流による社会保険料最小化(概要編)
二刀流とは
マイクロ法人の世界でいう「二刀流」とは、個人事業主でありながらも、もう1つ別の事業をマイクロ法人で行う事です。なぜ、わざわざこのようなことをするのか、それを説明する前に公的保険の性質を理解する必要があります。
公的保険の性質
会社員・役員ではなく個人事業主として事業を行う場合、会社員が加入する社会保険(健康保険と厚生年金保険)ではなく、国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。
ただし、ご存じの通り個人事業主が加入する国民健康保険と国民年金は保険料が非常に高額です。
またその比率も国民健康保険は最大約100万円/年で、国民年金保険料は固定で約20万円/年となり、国民健康保険料の比率が高いです。
国民健康保険料は、国民年金保険料とは異なり払い損です。逆に国民年金保険料は払った分は、老後の年金として約10年程度で回収することが可能であり、割のいい投資です。
国民健康保険料 83(払い損) | 国民年金保険料17 (資産) |
費用83対17資産
これに対して、会社員・役員が加入する社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料の構成比率は概ね以下のようになります。なお、社会保険料は会社と個人で折半するのですが、会社負担の厚生年金保険料は将来の年金受給額に反映されないので、払い損とみなします。
会社負担の健康保険料 4 (払い損) | 会社負担の厚生年金保険料 6 (払い損) |
個人負担の健康保険料 4 (払い損) | 個人負担の厚生年金保険料 6 (資産) |
費用70対30資産
将来年金がちゃんと貰えるのか不安な時代ではあるものの、少なくとも国家が運営する年金制度は民間の年金よりは信用できるでしょう。とすれば、年金保険料は(多少の不安はあるものの)基本的には将来年金を受給できる権利であり、資産と言えます。
このように、個人事業主が加入する保険制度と、会社員・役員が加入するそれとでは根本的に比率が異なるのです。
このことから、可能な限り保険料が高くかつ健康保険の比率も高い国民健康保険・国民年金には入らずに、社会保険に加入したいものです。また、社会保険に加入後は少額の保険料でも納付すれば、健康保険の恩恵を享受することが可能です。保険料が少ない又は多いからといって、受けられる医療サービスに違いはないのです。
二刀流のメリットは公的保険の性質を利用するもの
二刀流にすることで、個人事業主は設立した会社の役員になり、そこで役員報酬をもらいます。
すると、給与を得ることになるので、社会保険に加入することができます(義務になります)。ここで、多額ではない役員報酬を設定して社会保険に加入すると、社会保険料の額も少額となります。
この場合、同時に営んでいる個人事業主としての収入には国民健康保険料・国民年金保険料がかかりません! これが二刀流のメリットのポイントです。個人事業主であっても、役員等になり給与・役員報酬をもらったら社会保険に加入することが優先され、2つ同時に公的保険に加入しないからです。 自分でやる会社の役員報酬は安く設定すれば、それに連動して自動的に社会保険料も安くなります。それでも、公的保険のサービス内容は変わりません。但し、欠点として、年金保険料も安くなっているので、将来もらう年金受給額も少なくなります。
まとめ
つまり二刀流とは、「安い役員報酬をもらって社会保険に加入して安い社会保険料を払い、高額な国民健康保険・国民年金から抜けること」を狙った合法的な社会保険料最小化スキームなのです。 今回は、二刀流の概要を説明しました。数字で具体的な例を使った説明は、数値編で行います。
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