税務相談ロボは使えるか?(1)

昨今、生成AIの発達に伴いchat GPTなどの自然な言葉で質問に回答するロボットが増えています。

その中でも、株式会社ROBONが提供する税務相談ロボットが注目を集めています。

税務相談ロボットは、生成AIの中でも、税務の相談に特化したものです。

実際に使ってみた感想は、完璧ではないがそこそこ使えるのではないかと思いました。ただ、使用するうえでの注意点を述べておきたいと思います。

不満点 質問者にある程度のリテラシーが必要

当たり前の話ではありますが、ロボットに正しい質問をしないと正しい回答が得られません。

質問の際、条件を正しく入れないと、追加で質問しなければならないケースがあります。

例えば、「設立初年度で売上1000万円未満ですが、1期目から消費税の課税事業者になりますか。」と質問すると、

設立初年度で売上が1000万円未満の場合、原則として消費税の納税義務は免除されます。これは、新たに設立された法人のように、その課税期間について基準期間における課税売上高がないときまたは基準期間がないときに適用されます。ただし、特定の条件下では免除されない場合もありますので注意が必要です。」という回答がきます。

この場合、追加で「その免除されない特定の条件とは何か」について尋ねると、特定の条件の1つとして「消費税法第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は同法第九条の二第一項、第十条第二項、第十一条第二項から第四項まで、第十二条第一項から第四項まで若しくは第六項、第十二条の二第一項若しくは第二項、第十二条の三第一項若しくは第三項若しくは第十二条の四第一項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間及び同法第十条第一項、第十一条第一項又は第十二条第五項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間」という回答が得られます。

このような回答を得られたとしても、普通の人はなかなか理解できないでしょう。もし理解できても、自分のケースに関係があるのかどうかを判定することは困難だと思われます。

また、質問のしかたが悪いと、そもそも回答自体してくれない場合もあります。

何が言いたいかというと、質問者にもある程度の税務リテラシーが必要ということになります。顧問税理士と異なり、ロボットは質問者の意図を酌んではくれませんし、まして個別のケースに当てはめることもしてくれません。

実際には、ロボットを使用できるのは一般人ではなく、税理士事務所の役職員でしょう(おそらく、それを想定してロボットを作っているとは思いますが)。税務相談ロボットには以上のような限界は感じますが、逆にそれを理解して注意して使えば非常にメリットがあるサービスだと思います。

関連記事

  1. マイクロ法人のメリット・デメリット
  2. receipt 比較ビズ記事 【今更聞けない】法人が行う確定申告とは?期限や流れ…
  3. 仮想通貨 ビットコイン 米国で暗号資産ETFが承認
  4. vat 比較ビズ記事 法人が支払う消費税の計算方法とは?消費税の仕組みや…
  5. マイクロ法人の法人設立届出書の書き方(実例付き)
  6. no goog 事前確定届出給与で本当に社会保険料を削減できるのか?
  7. calculater 法人化したことで増える作業量
  8. 金融所得にも社会保険料が。また実質増税

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

最近の投稿

PAGE TOP