- ホーム
- マイクロ法人・法人化
- 法人成りで、個人事業主が法人に器具備品を移管する場合
法人成りで、個人事業主が法人に器具備品を移管する場合
法人成りをした場合、個人事業主時代に使用していた器具備品(撮影機材など)を法人に売却することによって移管するのが一般的です。
ボールペンやセロテープくらいなら移管を気にしなくてもいいですが、法人成りしたら器具備品程度のものならば原則として個人事業主→法人に移管します。
この際、器具備品は時価で売却しなければならない点に留意が必要です。
この時の時価は、同種資産のインターネットのオークションや実際の店舗での売買実例価格を用いるか、中古業者の買取鑑定価格を用いる方法が原則的な方法です。
法人の会計処理
法人の方では受け入れた資産を、その売買価格(時価)に応じて
10万円未満なら消耗品費
10万円以上20万円未満なら一括償却資産
10万円以上30万円未満なら少額償却資産(青色申告である必要あり)
20万円以上なら固定資産
としていずれかの方法で会計処理します。
法人は新品購入ではなく中古品の購入になるので耐用年数は短くなる点に注意が必要です。中古資産の耐用年数は通常は(税法のルールに則り)自分で計算して会計ソフトの固定資産台帳に入力・設定します。
個人事業主の会計処理
売却した個人事業主は、当該器具備品の売却損益を事業所得に含めない点に注意してください。
一見すると、個人事業で使っていた資産を売却して損益が出たらなら、それは事業所得になるように思えます。しかし、個人事業主が売却した事業用の固定資産の売却損益は原則として譲渡所得になります。事業の損益計算書からは外す必要が出てきます。
このため、個人事業主による器具備品の売却仕訳はやや独特になります。
例えば、簿価(減価償却累計額控除後)80万円の器具備品を時価100万円で法人に売却した場合は、以下のようにやや変な仕訳になります。
(借方) 預金 100万円 (貸方) 器具備品 80万円
(貸方) 事業主借 20万円
売却益に相当する20万円は事業所得になりませんので(譲渡所得になる)事業主借になります。
これは、事業用の銀行口座から預金の利息が発生しても、受取利息を計上せず事業主借になるのと同じ理屈です。この預金利息は利子所得であり事業所得ではないから、事業所得を計算するための損益計算書からは除くのです。
個人の確定申告の際、この20万円の売却益は譲渡所得として申告します。なお、譲渡所得には年間50万円の控除がありますので、実際には20万円の売却益には課税されません。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。