ネット上に出回っている無料の税金に関する情報の正確性

インターネット上には、税金に関する様々な情報が転がっています。

私自身も相談を受ける際に、「インターネットでこのような節税策を見たのですが・・」という話を聞きます。

何ら統計的な根拠はないですが、直感として小規模会社に関するインターネット上の情報は5割方は、その情報自体は正しいとは思います。4割は真偽不明で、残りの1割程度はそもそも間違っています。

しかし、「その情報自体は」というのがポイントです。その情報自体は、その人の実例や条文・通達等からの引用だと思うのですが、その事例の場合は正しいかもしれないが、それ以外のケースは当てはまらないかもしれないからです。

例えば、節税のために旅費規程を作成した場合は、規程を労働基準監督署に届け出なければならないという情報は、インターネット上のしかも検索結果の最上部に出てきます。

しかし、現実的には従業員数が10人未満の会社なら就業規則(の一部を構成する旅費規程)の届出は義務ではありません。インターネット上の検索結果はこのような各種条件などについては書いてないか書いてあってもページの下の方に書いてあって気づかない人が多いです。実際に、私もこの届け出の要否の質問はよく受けます。この例では、マイクロ法人の場合は人数が少ないので規程の届け出が不要です。法律の情報自体は正しいですが、実務の運用では適用されないケースも多いのです。

他にも、マイクロ法人に対して、個人所有の不動産(家)を賃貸して、法人が賃料を払うことで経費を増やす節税等というものもネット上には散見されますが、実際には本当に節税になるとは限りません。法人では節税であっても、反対に個人は不動産所得が発生するので、個人の所得税率が高い人や不動産の取得価額が低い人等の場合、トータルでは損する可能性もあります(そもそも契約の締結や毎月の決済の手間がかかるので効果の割に手間が多いと思います)。この場合も、ネットの情報自体は正しいですが、本人次第で有利にも不利にもなるわけです。

要するに、ケースバイケースで異なるので、あまりネット上の情報は鵜呑みにしない方がいいでしょう。

また、4割の真偽不明とはどういうことかというと、判例も通達も条文もなく、そのインターネット上の情報が正しいのかどうか、経験した本人しか分からないものです。実際、その情報発信者が経験したことなので、本当なのかもしれませんが、嘘や誤解の可能性もあります。このような情報は全く無価値とは思いませんが、自分の場合は異なる扱いになるリスクも考えて利用すべきでしょう。

関連記事

  1. digital Chat GPTがあれば税理士はいらない?
  2. notice インボイス発行事業者として登録すべきか
  3. 証券口座の画面 法人成りで、個人事業主が法人に器具備品を移管する場合
  4. suit 比較ビズ記事 いい税理士とは?スグわかる見極めるポイント を監修…
  5. 金融所得にも社会保険料が。また実質増税
  6. 大量の郵便物 年内に経営セーフティ共済に加入する場合の期限
  7. simulator マイクロ法人の給与支払事務所の開設届の書き方(実例付き)
  8. マイクロ法人を作る時の業種は何がいいか?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

最近の投稿

PAGE TOP