社会保険制度の改悪がもの凄い勢いで進んでいる

ここ最近、社会保険制度の改悪がもと凄いスピードで進んでいます。既にニュースでも流れているので、ご存じの方が多いかと思いますが、主なもので以下が挙げられます。

厚生年金から国民年金に資金を流用する案の検討が開始

国民年金の納付を40年から45年へ延長検討

社会保険加入の適用拡大(2022年10月から既に開始)

大企業の健康保険組合の負担増の検討

①の流用に関しては最早論外です。このようなことが認められれば、そもそも年金保険の体をなしていないことになります。サラリーマンが払った保険料が、自営業者のために流用されるのであれば、そもそも年金会計を分けている意味がありません。制度として実質破綻しているといえるのではないでしょうか。サラリーマンには不利な改正です。

②に関しても同様で、従来40年納付ですから20歳から60歳まで保険料を納めて、65歳から受給という流れだったのに、65歳まで保険料を納めるということになります。もちろん、この案単独で済むはずはなく、おそらくこの後は受給開始年齢をこれに合わせて65歳から70歳にするという変更もするのでしょう。

③は既に開始されていますが、従来厚生年金保険の被保険者が501人以上の事業所だったのを101人以上にまで拡大するというものです。また、雇用期間も従来1年継続見込みだったのを2か月に短縮しています。とにかく社会保険料を払わせたいようです。中堅企業・大企業には不利ですね。

④は、大企業は自分たちで健康保険組合を持っていることがあるのですが、そのような大企業の健康保険組合をターゲットにして、負担増を狙う法改正案です。直接的に大企業のサラリーマンの保険料が上がるわけではないですが、大企業のサラリーマンが加入している健康保険組合の負担が増え、その反射的な影響で当該サラリーマンの保険料が値上される可能性があります。これは、反対に小規模な健康保険組合の負担が減少するというものです。マイクロ法人には有利でしょう。

昨今の改正の影響を受け、今後税金以上に社会保険料の増大が懸念されます。

社会保険料対策には、以下が定石です。

●サラリーマンであれば、個人事業主での副業の開始(副業の事業所得は社会保険料がかからない)

●個人事業主であれば、マイクロ法人化による健康保険組合・厚生年金の加入(保険料が高額な国民健康保険からの脱却)

何か対策を講じたいが、どうしたらいいか分からないという方はお近くの税理士等の専門家に相談した方がいいでしょう。

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著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

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