新NISA+退職金増税のコンボでiDeCo終了の人も

2024年から新NISAが適用開始されます。

また、現在政府の税制調査会では20年超勤務・投資した場合の退職金の控除額の減少が検討されています。

新NISAの登場によってiDeCoの存在価値がなくなってきています。

これは、あまりにも新NISAの使い勝手が良すぎることが原因です。

新NISAとiDeCoの関係の比較をまとめると以下のようになります。

入口(投資時)運用途中出口(売却時)資金拘束運用期間
新NISA〇課税なし〇課税なし〇課税なし〇なし◎無制限
iDeCo◎減税効果アリ
(所得減額)
〇課税なし×課税アリ
(退職所得
 or雑所得)
×アリ
(年齢次第)
×制限アリ
(年齢次第)
新NISAとiDeCoの比較

このようにみると、新NISAは殆ど欠点がないです。

iDeCoは投資時に減税効果がある点を除いては、ほとんど新NISAに勝っているところがありません。

特にiDeCoで資産を売却する時においては、売却代金を一括で受け取り、退職所得とすることが多いと思われますが、この退職所得について20年超の運用であったとしても(本来20年超の運用ならば退職所得控除は増額されるはずが)、退職所得控除が減額されてしまうという改正が検討中です。

もしこのまま20年超の退職所得控除の減額が実現してしまうと、iDeCoの場合、人によっては投資時(入口)の減税効果を打ち消すほどの課税が売却時(出口)にされてしまう可能性があります。65歳になったときに、(勤務先の退職金とiDeCoの売却益が)退職所得として一気に発生して退職所得控除ではカバーしきれないほどの退職金が出てしまうかもしれません。従来は20年超の長期退職所得控除があったので、この心配はありませんでした。

もちろん、退職金が元々少ない自営業や中小企業に勤めている人の場合は、大した影響はないかもしれません。

しかし、退職金制度が充実している公務員や大企業に勤めている人の場合は、影響があるでしょう。これらの人は、iDeCoへの投資を縮小して、新NISAへの投資に振り向ける方が有利かと思います。但し、退職金額は個々の勤め先の会社によって変わりますので、ケースバイケースで判断が必要です。

一方、自営業や退職金が元々少ない中小企業に勤めている人は、今回の退職所得控除の改正や新NISAはあまり気にせず、従来通りの投資を継続することで問題ないでしょう。

関連記事

  1. usa 脱ドル化と米国債
  2. 税理士が生命保険を勧める理由
  3. panic シリコンバレー銀行破綻は第二のリーマンショックか?
  4. 日銀 円安はいつまで続くのかと税務上の注意点
  5. 円をドルに換える手数料を抑える方法
  6. ホロスホールディングス社の新規上場承認取消
  7. notice IFA(独立フィナンシャルアドバイザー)に騙されるな
  8. 新NISAの登場で株式投資法人のメリットが減少

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


著者:税理士 鈴木 康寛

マイクロクラウド会計事務所所長似顔絵

大手監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後、上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をモットーにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。

最近の投稿

PAGE TOP