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個人事業税の「事業内容に関する回答書」に注意

個人事業税が課せられる業種
個人事業主として事業を行っていると、所得が年間290万円を超えた場合は個人事業税が発生します。
ただ、個人事業税はすべての事業に発生するのではなく、法律で定められた業種のみに発生します。これらの業種を法定業種といいます。
例えば以下の東京都主税局のサイトにある業種に対して課せられます。
中には、「計理士」など既に存在しない資格(昔の公認会計士)もあります。
一方でユーチューバーなどの新しくできた職業については記載されておらず、法律がキャッチアップできていません。
各自治体では、個人事業主が行っている事業が法定業種に該当するかどうかを判断するために「事業内容に関する回答書」というもの個人事業主に対して送り、その回答の結果から事業税をかけるかどうかを判断しています。この文書のタイトルや内容は自治体により若干異なりますが、ここでは「事業内容に関する回答書」とします。
このため、「事業内容に関する回答書」への記載は非常に重要です。個人事業税がかかれば、所得に対して3~5%程度の事業税がかかるからです。
特に注意するべきは、事業が「請負業」に該当するかどうかという点です。
請負と準委任の違い
ここで、契約形態としての「請負」と「準委任」の違いについて理解しておく必要があります。
「請負」は、成果物の納品によって報酬が得られる契約形態であり、そのプロセスや方法は受任者に任されています。成果さえ出せれば、受任者はいつどこで仕事してもいいわけです。また、受任者は事業のリスクも負っています。
「準委任」は、委任者に依頼された作業を受任者が代わりにやるものであり、そのプロセスや方法は受任者の自由ではありません。受任者の作業場所や時間が指定されています。成果物に対して委任者が納得してなくても、契約で定められた業務を実行すれば報酬が得られます。
要するに、「請負」はプロとしての成果物の提供、「準委任」は時間の切り売り的な違いです。
「事業内容に関する回答書」で、回答に「請負」に該当する要素が多い場合は、請負業として認定され、個人事業税が課せられてしまいます。
例えば、作業時間の指定があるかどうか等という質問に対して、「作業時間の指定はなく、自由に仕事をすることができる」と回答すれば、より請負業に近くなるということです。
この回答項目が一定程度「請負」側によった場合、請負業として認定され課税されるという流れです。
知らないうちに請負業として課税されていた
よくある誤りが、準委任として単なる事務作業をやっているだけなのに、個人事業税が課せられているケースです。
最近は、派遣会社を経由せず労働者が準委任契約で企業に直接業務を提供する場合があります。事務作業の代行や書類作成、プログラム入力等があります。
この場合、請負業として課税されないことが通常です(もちろん、形式が準委任でも実態が請負業であれば話は別ですが)。にもかかわらず、回答書の返事の仕方で請負業として認定されて課税されてしまっていることがあります。
このように、個人事業主の方は知らないうちに請負業としてに認定され余計に税金を払っている可能性もあるので要注意です。
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